失語症は、脳血管障害等が主な原因で、「話す」「聞く」「読む」「書く」などの機能に障害が出ます。
失語症は構音障害のように、単に音を構成することの困難さだけではないので、構音障害の方に有効なコミュニケーションボード(50音表)は、失語症の方には向いていません。
運動性失語(ブローカー失語)
運動性失語は、人の言葉や文字は理解できますが、言いたい事が言葉にならない失語症です。
思考を言語に変換する左前頭葉の「運動性言語野(ブローカー野)」の障害によって生じるので、ブローカー失語とも呼ばれます。
話す不安を軽減した絵カードや写真など視覚化されたコミュニケーションが有効です。
感覚性失語(ウェルニッケ失語)
感覚性失語症は、言葉に対する理解が乏しく、会話が成立しません。
なので、ジェスチャーやボディランゲージによるコミュニケーションが有効です。
失語症と構音障害の違い
失語症と構音障害は本質的に異なります。
詳しくは以下の記事で。
過去問
第26回 問題33
重度の運動性失語症(motor aphasia)のある人のコミュニケーションを促進する方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ひらがなで筆談する。
2 言葉で話すように促す。
3 絵や写真など視覚化された情報を用いる。
4 ボタン操作で音声を入力できる機器を使うように促す。
5 二者択一の問いかけはしない。
運動性失語は自分の思っていることを言葉として出すことができない失語症です。
1 ひらがなで筆談する。
言葉は理解できるので、ひらがなである必要はありません。
2 言葉で話すように促す。
相手を焦らせてはダメです。
3 絵や写真など視覚化された情報を用いる。
これは、なぜと思われるかもしれませんが、コミュニケーションとして有効な場合があるということです。
一応これが正解になっています。
4 ボタン操作で音声を入力できる機器を使うように促す。
発語が困難な場合でも、機器を使って発語の努力がなくなるのはよくないです。
5 二者択一の問いかけはしない。
運動性失語の方は、長く話すのが苦手なので二者択一の「はい、いいえ」で答えられるような質問は答えやすいです。
第33回 問題32
運動性失語症(motor aphasia)のある人とコミュニケーションを図るときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 絵や写真を使って反応を引き出す。
2 大きな声で1音ずつ区切って話す。
3 手話を使うようにする。
4 五十音表でひらがなを指してもらう。
5 閉ざされた質問は控える。
1 絵や写真を使って反応を引き出す。
理解力はあるので絵や写真を使わなくても理解できるのですが、発語が困難なので「反応を引き出す」という点が重要です。
2 大きな声で1音ずつ区切って話す。
耳が聞こえにくいわけではありません。
3 手話を使うようにする。
耳が聞こえにくいわけではありません。
こちらからの言葉は理解できます。
4 五十音表でひらがなを指してもらう。
五十音表は構音障害の方に有効ですが、失語症の方には向きません。
5 閉ざされた質問は控える。
運動性失語の方は、長く話すのが苦手なので二者択一の「はい、いいえ」で答えられるような閉ざされた質問は答えやすいです。
次の記事
次は、「麻痺」について。
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