車いすを利用している方の介護の基本を学びましょう。
車いすの各部名称わかりますか?
ハンドリム、ヘッドサポート、バックサポート、駆動輪・・・。
車いす移動の基本
・段差を上がるときは、前輪を上げて進み駆動輪が段差に接してから前輪を下ろす
・踏切を渡るときは、前輪を上げて駆動輪でレールを越えて進む
・ベッドから車いすへの移乗などではスライディングボードを用いたノーリフティングケア
ノーリフティングケアとは、介護や看護の現場で、利用者を抱え上げたり、持ち上げたり、引きずったりする行為を極力避け、リフトなどの福祉用具を積極的に活用することで、介護職員の身体的負担を軽減し、安全で質の高いケアを提供するための介助方法です。
各部名称
ハンドリム
ハンドリムとは、大車輪の外側にある金属製の輪のことです。

車いす利用者自身がハンドリムを回すことで車椅子を前進後進することができます。
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リム(rim)というのは、縁、外輪という意味だね。
アームサポート
腕を置くための肘掛け部分のことです。
ヘッドサポート
頭を支えるものですが、あまり付いている車いすはありませんね。
バックサポート
座った時に背中を支える「背もたれ」のことです。
駆動輪
後輪のことです。
前輪はキャスターとも呼ばれ小さいですが、後輪は駆動輪と呼ばれ大きい車輪です。
過去問
第33回 問題42
Hさん(35歳、男性)は6か月前、高所作業中に転落し、第6胸髄節(Th6)を損傷した。
リハビリテーション後、車いすを利用すれば日常生活を送ることができる状態になっている。
Hさんの身体機能に応じた車いすの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ヘッドサポートを装着している。
2 ハンドリムがないタイヤを装着している。
3 レバーが長いブレーキを装着している。
4 片手で駆動できるハンドリムを装着している。
5 腰部までのバックサポートを装着している。
第6胸髄節を損傷した場合、肩や肘を動かすことができますが、対麻痺があります。
1 ヘッドサポートを装着している。
頭を支える必要はありません。
2 ハンドリムがないタイヤを装着している。
両手は動くのでハンドリムがあれば自分で車いすを動かせます。
3 レバーが長いブレーキを装着している。
両手は動くのでブレーキレバーが長い必要はありません。
4 片手で駆動できるハンドリムを装着している。
両手は動くので必要ありません。
5 腰部までのバックサポートを装着している。
これが正解です。両下肢の麻痺があるため、バックサポートの装着は適切です。
第33回 問題41
標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 急な上り坂は、すばやく進む。
2 急な下り坂は、前向きで進む。
3 踏切を渡るときは、前輪を上げて駆動輪でレールを越えて進む。
4 段差を上がるときは、前輪を上げて進み駆動輪が段差に接する前に前輪を下ろす。
5 砂利道では、駆動輪を持ち上げて進む。
1 急な上り坂は、すばやく進む。
すばやく進むと危険です。
2 急な下り坂は、前向きで進む。
下り坂は後ろ向きで進みます。
3 踏切を渡るときは、前輪を上げて駆動輪でレールを越えて進む。
これが正解です。
踏切に引っかからないよう前輪を上げて進みます。
4 段差を上がるときは、前輪を上げて進み駆動輪が段差に接する前に前輪を下ろす。
駆動輪が段差に接してから前輪を下ろさないと不安定で危険です。
5 砂利道では、駆動輪を持ち上げて進む。
駆動輪を持ち上げてはなかなか進めません。
第31回 問題40
入居施設で生活する利用者が車いすを使用して外出するときに、介護福祉職が計画、準備することとして、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1 長時間の外出を企画する。
2 家族に同行を依頼する。
3 外出先の経路情報を集める。
4 折り畳み傘を用意する。
5 介助ベルトを用意する。
選択肢3が正解です。
第31回 問題41
選択肢1から5の順で、ベッドから車いすへ全介助で移乗するときの、利用者の動作と、介護福祉職の身体の使い方の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 上半身を起こす 手首で持ち上げる
2 ベッドの端に座る 踵を浮かせて、低くかがむ
3 立ち上がる 前腕で真上に引き上げる
4 車いすに移る 重心を安定させて、車いすへ足先と身体を向ける
5 深く座り直す 座り直す方向に向けて、上下の重心移動をする
選択肢4が正解です。
重心移動を行う方向に足先と身体を向けることで自然な重心移動ができます。
第32回 問題41
次の記述のうち、ベッドから車いすへの移乗介護で最初に行うこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 移乗の目的を説明して同意を得る。
2 移乗の方法を説明する。
3 衣服を着替えてもらう。
4 車いすを介護しやすい位置に調整する。
5 ベッドの高さを調節する。
選択肢1が正解です。
第33回 問題50
下肢筋力の低下により立位に一部介助が必要な車いすの利用者が、トイレで排泄をするときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 便座の高さは、利用者の膝よりも低くなるように調整する。
2 便座に移乗する前に、車いすのバックサポートに寄りかかってもらう。
3 車いすから便座に移乗するときは、利用者の上腕を支える。
4 利用者が便座に移乗したら、座位が安定していることを確認する。
5 立ち上がる前に、下着とズボンを下腿部まで下げておく。
選択肢4が正解です。
第34回 問題41
- スライディングボードを用いた、ベッドから車いすへの移乗の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アームサポートが固定された車いすを準備する。
2 ベッドから車いすへの移乗時には、ベッドを車いすの座面より少し高くする。
3 ベッドと車いすの間を大きくあけ、スライディングボードを設置する。
4 スライディングボード上では、臀部を素早く移動させる。
5 車いすに座位を安定させ、からだを傾けずにスライディングボードを抜く。
1 アームサポートが固定された車いすを準備する。
誤りです。スライディングボードを使用するためには、アームサポートが跳ね上げ式でなければなりません。
2 ベッドから車いすへの移乗時には、ベッドを車いすの座面より少し高くする。
これが正解です。スライディングボードを使用するためには、高さ調整可能なベッドが好ましく、ベッドを車いすの座面より少し高くし、ベッドから車いすに滑り落ちるように臀部をスライドさせます。
3 ベッドと車いすの間を大きくあけ、スライディングボードを設置する。
誤りです。ベッドと車いすの間はできるだけ近づけます。
4 スライディングボード上では、臀部を素早く移動させる。
誤りです。臀部を素早く移動させると利用者に恐怖を感じさせる可能性があります。
5 車いすに座位を安定させ、からだを傾けずにスライディングボードを抜く。
誤りです。移乗させた方向に利用者のからだを傾け、臀部を浮かせてスライディングボードを抜きます。
第36回 問題85
- 標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 急な上り坂は、すばやく進む。
2 急な下り坂は、前向きで進む。
3 踏切を渡るときは、駆動輪を上げて進む。
4 エレベーターに乗るときは、正面からまっすぐに進む。- 5 段差を降りるときは、前輪から下りる。
1 急な上り坂は、すばやく進む。
誤りです。危険です。
2 急な下り坂は、前向きで進む。
誤りです。下り坂は後ろ向きで進みます。
3 踏切を渡るときは、駆動輪を上げて進む。
誤りです。駆動輪ではなく前輪を上げて進みます。
4 エレベーターに乗るときは、正面からまっすぐに進む。
これが正解です。正面から入ることでドアに挟まれそうになった時にとっさの対応ができます。
5 段差を降りるときは、前輪から下りる。
誤りです。段差を降りるときは、後ろ向きで駆動輪から下ります。
第37回 問題85
- ノーリフティングケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仰臥位(背臥位)の利用者を抱え上げて、端座位にする。
2 仰臥位(背臥位)の利用者を手前に引きよせて、ストレッチャーに移乗する。
3 端座位の利用者の体幹を抱きかかえて、車いすに移乗する。
4 端座位の利用者にスライディングボードを使用して、車いすに移乗する。
5 立位が困難な端座位の利用者に回転移動盤を使用して、車いすに移乗する。
選択肢4がノーリフティングケアです。
次の記事
次は、「廃用症候群」についてです。

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