障害を受け入れることは、容易ではありません。
もし、自分が失明したり半身不随になってしまったらと考えると、どうでしょう。
障害を「受け入れる」といいますが、実際は「諦める」というのが正確かもしれません。
抗いようのない運命を、どうしようもないから諦めるという感じでしょうか。
泣いても、叫んでも、発狂しても、治らないものは治らない。
だから諦めるんです。
障害受容の5段階
障害受容の過程は5段階に分けられます。
1.ショック期
障害を負ったことによるショックはあっても、実感が持てず心は平穏な状態です。
2.否認期
回復する可能性に過度な期待を寄せたり、健常者に対し羨望や嫉妬の目を向ける時期です。
3.混乱期
障害が治らないことを実感し、気落ちしたり自暴自棄になる時期です。
4.解決への努力期
自分で努力しなければならないことを自覚し、リハビリや治療に前向きになる時期です。
5.受容期
「障害も含めて自分である」ことを認められるようになる時期で、自分の新たな役割や価値観を見出せるようになります。
過去問
第32回 問題94
Gさん(56歳、男性)は、糖尿病性網膜症に伴う眼底出血を繰り返して、治療を受けていた。
医師から失明は避けられないと説明を受けた。
その後、Gさんは周囲に怒りをぶつけたり、壁に頭を打ちつけたりという行動がみられるようになった。
このときのGさんの障害受容の状況として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ショックではあるが、不安はそれほど強くない。
2 自分には障害はないと否認する。
3 前向きに自己努力を図ろうとする。
4 否認ができずに混乱する。
5 新しい価値観や役割を見いだす。
障害受容は、ショック期、否認期、混乱期、努力期、受容期の5段階で移り変わります。
事例のGさんは混乱期であると思われます。
1 ショックではあるが、不安はそれほど強くない。
これはショック期です。
2 自分には障害はないと否認する。
これは否認期です。
3 前向きに自己努力を図ろうとする。
これは努力期です。
4 否認ができずに混乱する。
これが正解です。混乱期です。
5 新しい価値観や役割を見いだす。
これは受容期です。
公認心理師 第1回 問21
中途障害者の障害受容について、正しいものを1つ選べ。
①他責を示すことはない。
②一旦前進し始めると、後退することはない。
③他者や一般的な価値と比較して自分を評価することが必要である。
④障害によって自分の価値全体を劣等だと認知することが必要である。
⑤ショック期の次の期では、障害を認めつつも、一方で回復を期待した言動がしばしばみられる。
①他責を示すことはない。
間違いです。他責をしめすことがあります。
②一旦前進し始めると、後退することはない。
間違いです。後退することもあります。
③他者や一般的な価値と比較して自分を評価することが必要である。
間違いです。他者と比較してはいけません。
④障害によって自分の価値全体を劣等だと認知することが必要である。
間違いです。障害によって劣等だと認知するのはいけません。
⑤ショック期の次の期では、障害を認めつつも、一方で回復を期待した言動がしばしばみられる。
これが正解です。ショック期の次の否認期では、 回復する可能性に過度な期待を寄せたり、健常者に対し羨望や嫉妬の目を向けたりします。
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次は、オストメイトについて。
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