衣服
袖ぐり
袖ぐりとは、下図の部分です。
英語ではスリーブといいます。
和式寝衣
和式寝衣とは、下のような患者用のパジャマです。
温泉宿で着るやつね。
和式寝衣の前部分を「前身頃(まえみごろ)」と呼び、左側は左前身頃、右側は右前身頃です。
実は右か左か、どちらを上にするか決まっています。
右前身頃の上に、左前身頃を重ねるのが正しいです。
逆にすると死装束になってしまうようです。
自助具
ボタンエイド
ボタンエイドは、以下のようなボタンをかけるときの自助具です。
ソックスエイド
ソックスエイドは、以下のような足を曲げずに靴下が履ける自助具です。
着衣失行
着衣失行とは、高次脳機能障害などにより衣服の上下や表裏の区別がつかない、ボタンがかけられないなどの症状のことです。
過去問
第32回 問題39
更衣のための介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
2 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。
3 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
4 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。
5 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。
1 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
これが正解です。
2 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。
ボタンエイドというのは手指に障害がある人のための自助具です。
認知症の人が使用するものではありません。
3 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
これは危険です。
4 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。
ソックスエイドは、足先まで手を伸ばせない人のための靴下を履く自助具です。
視覚障害の人のためのものではありません。
5 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。
袖ぐりとは袖をつける部分のアームホールのことですので、片麻痺の人には袖ぐりが大きい方が良いです。
第32回 問題38
次の記述のうち、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)による着衣失行のある人に対する着衣の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 着替えができない理由を本人に確認する。
2 左右がわかるように衣類に印をつける。
3 着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。
4 衣服を畳んで渡す。
5 着衣の方法を毎回変えるように勧める。
着衣失行は、服の上下や表裏が分からない状態ですので、選択肢2が正解です。
第33回 問題37
下肢の筋力が低下して、つまずきやすくなった高齢者に適した靴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 靴底の溝が浅い靴
2 靴底が薄く硬い靴
3 足の指が固定される靴
4 足背をしっかり覆う靴
5 重い靴
選択肢4が正解です。
足背というのは足の甲のことです。
第31回 問題39
ベッド上で臥床したままの利用者に行う和式寝衣の交換の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 袖を抜くときは手→肘→肩の順で行う。
2 脱いだ寝衣を広げ、その上に新しい寝衣を重ねて広げる。
3 利用者の脊柱と新しい寝衣の背縫いの部分を合わせる。
4 左前身頃の上に、右前身頃を重ねる。
5 腰紐は結び目が背中に回るように結ぶ。
1 袖を抜くときは手→肘→肩の順で行う。
間違いです。肩→肘→手の順で行います。
和式寝衣なら肩から脱げます。
2 脱いだ寝衣を広げ、その上に新しい寝衣を重ねて広げる。
間違いです。こうすると不衛生です。
3 利用者の脊柱と新しい寝衣の背縫いの部分を合わせる。
これが正解です。縫い目を正しい位置にすることで皺がよらず褥瘡を防げます。
4 左前身頃の上に、右前身頃を重ねる。
間違いです。右前身頃の上に左前身頃を重ねます。
逆だと「死に装束」になってしまいます。
5 腰紐は結び目が背中に回るように結ぶ。
間違いです。結び目が背中に回ると褥瘡の原因になります。
次の記事
次は、「清潔」についてです。
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