栄養素の歴史
三大栄養素
昔は、「炭水化物(糖質)」「タンパク質」「脂肪(脂質)」の三大栄養素でした。
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最大のエネルギー源は糖質だね。この3つはどれでもエネルギーになるからあまり重要じゃないよ。
五大栄養素
その後、ビタミンとミネラルが追加されて五大栄養素になりました。
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ビタミンとミネラルは人間にとってとても重要!特に現代人はミネラルの欠乏が病気の原因!農薬で育てられた野菜はミネラルなどの栄養がほとんど無いのだ。
九大栄養素
現在では、五大栄養素に「食物繊維」「水」「フィトケミカル」「酵素」を加えた九大栄養素が提唱されています。フィトケミカルのフィトというのは植物のことで、植物に含まれるポリフェノールやカロテノイドなどのことです。
有名なポリフェノールには、トマトのリコピン、ぶどうやナスのアントシアニン、緑茶のカテキン、大豆のイソフラボン、そばやいちじくのルチン、ごまのセサミンなど、様々あります。
栄養素の働き
ナトリウム
ナトリウムは、血圧の調節に関わります。
ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持したり、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し血圧を調節しています。
酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関与しています。
カリウム
カリウムはナトリウムとともに細胞の浸透圧を維持しています。
そのほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など様々な重要な働きがあります。
また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。
ビタミンA
ビタミンAは脂溶性ビタミンで、免疫力の維持や老化予防に役立ちます。
ビタミンB1
ビタミンB1は水溶性で、糖質を燃やしてエネルギーに変える(糖質の代謝)ときに必要です。
ビタミンB2
ビタミンB2は水溶性で、脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。
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ビタミンB1は糖質の代謝、ビタミンB2は脂質の代謝だね。
ビタミンD
ビタミンDは脂溶性です。
ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがあるので、骨を丈夫にして骨粗鬆症の予防になります。
ビタミンDは日光に当たることで体内で作ることができます。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性で、体内の脂質の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。
ビタミンK
ビタミンKは脂溶性で、血液を凝固させる働きがあります。
食物繊維
食物繊維を摂取すると、腸の蠕動運動を促して便秘の解消に効果的です。
実は食物繊維はこれまで人間の栄養素と考えてこられなかったのですが、実はとても重要な栄養素であることがわかって、現在は9大栄養素に含まれています。
たんぱく質・エネルギー
たんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEM)は以下の基準で診断されます
・1~6か月間の体重減少率が3%以上
・血清アルブミン値3.5g/dl未満
疾患と栄養
糖尿病、脂質異常症、肝疾患、慢性腎不全などの患者は、食事に注意する必要があります。
慢性腎不全の患者はエネルギー不足にならないよう糖質や脂質を摂取し、塩分やカリウムの摂取量には制限があります。タンパク質を多く摂取するとその分解によって老廃物が増え、腎臓に負担がかかるのでいけません。
BMIについて
BMI(Body Mass Index)は肥満度を表す体格指数です。
世界保健機関WHOの判定基準は以下の通りです。
BMI | 判定 |
---|---|
~16 | 痩せすぎ |
16~17 | 痩せ |
17~18.5 | 痩せぎみ |
18.5~25 | 普通 |
25~30 | 前肥満 |
30~35 | 肥満(1度) |
35~40 | 肥満(2度) |
40~ | 肥満(3度) |
過去問
第33回 問題101
栄養素の働きに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 たんぱく質は、最大のエネルギー源となる。
2 ビタミンD(vitamin D)は、糖質をエネルギーに変える。
3 カリウム(K)は、骨の形成に関わる。
4 ビタミンB1(vitamin B1)は、カルシウム(Ca)の吸収に関わる。
5 ナトリウム(Na)は、血圧の調節に関わる。
1 たんぱく質は、最大のエネルギー源となる。
最大のエネルギー源は糖質です。
2 ビタミンD(vitamin D)は、糖質をエネルギーに変える。
これはビタミンB1の働きです。
3 カリウム(K)は、骨の形成に関わる。
これはビタミンDの働きです。
4 ビタミンB1(vitamin B1)は、カルシウム(Ca)の吸収に関わる。
これはビタミンDの働きです。
5 ナトリウム(Na)は、血圧の調節に関わる。
これが正解です。
第26回 問題103
栄養素に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 糖質は、細胞質の主成分となる。
2 脂質は、ホルモンの原料となる。
3 カリウムは、血圧を上げる。
4 ビタミンAは水溶性である。
5 ビタミンEは、腸管からのカルシウムの吸収を促進する。
1 糖質は、細胞質の主成分となる。
間違いです。細胞質の主成分は水とタンパク質です。
2 脂質は、ホルモンの原料となる。
これが正解です。
3 カリウムは、血圧を上げる。
間違いです。カリウムは血圧を下げます。
4 ビタミンAは水溶性である。
間違いです。ビタミンAは脂溶性です。
5 ビタミンEは、腸管からのカルシウムの吸収を促進する。
間違いです。これはビタミンDの働きです。
第34回 問題45
- 慢性腎不全(chronic renal failure)の利用者の食材や調理方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 エネルギーの高い植物油を控える。
2 レモンや香辛料を利用し、塩分を控えた味付けにする。
3 肉や魚を多めにする。
4 砂糖を控えた味付けにする。
5 野菜は生でサラダにする。
1 エネルギーの高い植物油を控える。
誤りです。エネルギー不足になるとタンパク質が分解されて老廃物が増え、腎臓に負担がかかるため、脂質や糖質でエネルギー補給が必要です。
2 レモンや香辛料を利用し、塩分を控えた味付けにする。
これが正解です。慢性腎不全の患者は塩分摂取量の制限があります。
3 肉や魚を多めにする。
誤りです。肉や魚はタンパク質を多く含むため、その分解によって老廃物が増え、腎臓に負担がかかります。
4 砂糖を控えた味付けにする。
誤りです。糖質を補給することは重要です。
5 野菜は生でサラダにする。
誤りです。慢性腎不全の患者は、生野菜に多く含まれるカリウムの摂取量の制限があります。
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