介護において口腔ケアはとても重要だけど、難しい・・・。自分自身の歯磨きも正しく行えているか、改めてチェックし正しい知識を身に付けましょう。
口腔ケア
適切な口腔ケアを実施することで、虫歯や歯周病を防ぐことができます。虫歯は歯の組織が破壊され、歯周病は歯を支える歯周組織が破壊され歯周ポケットが形成されます。
歯ブラシを用いた口腔ケア
歯の表側は、毛先を歯面に対して90度に当てるスクラビング法、歯と歯肉の間は毛先を45度に当てるバス法で磨くのが基本で、歯ブラシを小刻みに動かしながら磨きます。
舌ブラシを用いた口腔ケア
舌ブラシは舌の奥(咽頭に近い方)から舌先に向かって動かして使用します。
ベッド上での口腔ケア
ガーグルベース(ン)
「ガーグルベース」とか「ガーグルベースン」と呼ばれるのは、ベッド上で口腔ケアをするときに使用する、以下のような「うがい受け」です。

口腔内の清拭
口腔内の清拭では、口腔内に使えるスポンジ、ウェットティッシュやガーゼなどを用いて口の中を拭き取ります。 奥に物を入れると嘔吐反射を引き起こす危険があるため、奥から手前方向に清拭を行います。
入れ歯
義歯
義歯とは入れ歯のことです。義歯には、部分義歯と総義歯があります。総義歯を取り外す場合は、下顎から先に外します。
義歯は高温に弱いため熱湯で洗わず、水やぬるま湯の流水で洗浄します。
また、義歯は乾燥させると割れる危険性があるため、水や義歯洗浄剤を入れた専用のケースに浸して保管します。
虫歯などで歯がないままだと、そこから空気が漏れて話しづらいですが、義歯を使用すると話しやすくなります。
床
床とは、合成樹脂でできたピンク色の入れ歯の土台のことです。
クラスプ
クラスプとは、部分入れ歯を残った歯に引っ掛ける留め金のことです。

過去問
第26回 問題44
経鼻経管栄養の利用者の口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 口腔から食物を摂取していないので、口腔ケアは不要である。
2 スポンジブラシは、したたるほど水を含ませて使用する。
3 経管栄養が終わってすぐの口腔ケアは避ける。
4 口腔ケアを始めるときに固定テープがはがれていたら、留め直す。
5 仰臥位で行う。
1 口腔から食物を摂取していないので、口腔ケアは不要である。
そんなことはありません。
2 スポンジブラシは、したたるほど水を含ませて使用する。
間違いです。経管栄養の場合は、少量の水分でも誤嚥しやすいので注意です。
3 経管栄養が終わってすぐの口腔ケアは避ける。
これが正解です。経管栄養直後ではえずいたり嘔吐したりすることがあります。
4 口腔ケアを始めるときに固定テープがはがれていたら、留め直す。
間違いです。経管栄養の固定テープを留め直すのは医療行為なので介護士が行ってはいけません。
5 仰臥位で行う。
仰臥位だと誤嚥しやすいので座位や側臥位で行います。
第33回 問題38
介護が必要な利用者の口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 うがいができる場合には、ブラッシング前にうがいをする。
2 歯磨きは、頭部を後屈させて行う。
3 部分床義歯のクラスプ部分は、流水で軽く洗う。
4 全部の歯がない利用者には、硬い毛の歯ブラシを使用する。
5 舌の清拭は、手前から奥に向かって行う。
1 うがいができる場合には、ブラッシング前にうがいをする。
これが正解です。
2 歯磨きは、頭部を後屈させて行う。
間違いです。頭部を後屈させると水や唾液を誤嚥しやすいです。
3 部分床義歯のクラスプ部分は、流水で軽く洗う。
クラスプ部分は特に汚れが溜まりやすいので軽く洗うだけでは不十分です。
4 全部の歯がない利用者には、硬い毛の歯ブラシを使用する。
歯が無いと硬い毛の歯ブラシは痛いです。
5 舌の清拭は、手前から奥に向かって行う。
舌の清拭は、奥から手前に向かって行います。
手前から奥だと飲み込んでしまいます。
第33回 問題39
口腔内が乾燥している人への助言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 苦味の強い食べ物を勧める。
2 臥床時は仰臥位(背臥位)で枕を使用しないように勧める。
3 水分は控えるように勧める。
4 唾液腺マッサージをするように勧める。
5 ジェルタイプの保湿剤は、前回塗った上に重ねて塗るように勧める。
これは、選択肢4が正解です。
第31回 問題38
介護福祉職が行う身じたく・整容の支援と使用する道具の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ベッド上での口腔ケア ガーグルベースン
2 浴室での洗髪 ドライシャンプー
3 総義歯の洗浄 歯磨剤
4 耳垢(耳あか)の除去 ピンセット
5 ベッド上での洗顔 冷水で絞ったタオル
ガーグルベースンでました。選択肢1が正解です。
第33回 問題99
義歯を使用したときの影響として、適切なものを1つ選びなさい。
1 唾液分泌量が増加する。
2 話す言葉が明瞭になる。
3 舌の動きが悪くなる。
4 口のまわりのしわが増える。
5 味覚が低下する。
選択肢2が正解です。
義歯を使う前は歯がない部分から空気が漏れやすく話しづらいのですが、義歯を使用すると話しやすくなります。
第35回 問題84
- 総義歯の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 上顎から先に外す。
2 毎食後に洗う。
3 スポンジブラシで洗う。
4 熱湯につけてから洗う。
5 乾燥させて保管する。
1 上顎から先に外す。
誤りです。総義歯の場合は、下顎から先に外します。
2 毎食後に洗う。
正しいです。
3 スポンジブラシで洗う。
誤りです。スポンジブラシは義肢を洗うのではなく、義歯を外した口腔内を清掃するのに用います。
4 熱湯につけてから洗う。
誤りです。義歯は熱湯につけると変形したり割れたりすることがあるので、水やぬるま湯の流水で洗浄します。
5 乾燥させて保管する。
誤りです。義歯は乾燥させると割れる危険性があるため、水や義歯洗浄剤を入れた専用のケースに浸して保管します。
第34回 問題38
- 歯ブラシを使用した口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 歯ブラシの毛は硬いものを勧める。
2 強い力で磨く。- 3 歯と歯肉の境目のブラッシングは避ける。
4 歯ブラシを小刻みに動かしながら磨く。- 5 使用後の歯ブラシは、柄の部分を上にしてコップに入れて保管する。
選択肢4が正解です。
第34回 問題40
- 経管栄養を行っている利用者への口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スポンジブラシは水を大量に含ませて使用する。
2 上顎部は、口腔の奥から手前に向かって清拭する。
3 栄養剤注入後すぐに実施する。- 4 口腔内を乾燥させて終了する。
5 空腹時の口腔ケアは避ける。
選択肢2が正解です。口腔内の清拭では、上顎部に限らず下顎部や舌についても、奥から手前に向かって清拭するのが基本です。
第37回 問題22
- 次のうち、歯周病(periodontal disease)の症状として、適切なものを1つ選びなさい。
1 歯のくぼみの形成
2 歯の硬組織の軟化
3 歯髄の炎症・疼痛
4 歯のエナメル質の侵蝕
5 歯周ポケットの形成
選択肢5の歯周ポケットが形成されます。
第37回 問題82
- 次の記述のうち、介護福祉職が行う身じたく・整容の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 ベッド上で行う口腔ケアは、ガーグルベースンを用いる。
2 総義歯の洗浄は、歯みがき剤を用いる。
3 耳垢の除去は、ピンセットを用いる。
4 ベッド上で行う洗顔は、冷水に浸して絞ったタオルを用いる。
5 浴室で行う洗髪は、ドライシャンプーを用いる。
選択肢1が正解です。ガーグルベースンはうがい受けです。
第37回 問題87
- 口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 うがいは、顔貌を整える。
- 2 歯みがきは、感染予防になる。
- 3 口腔内の乾燥は、口臭を予防する。
4 唾液腺マッサージは、唾液の分泌を抑える。
5 咀嚼機能の向上のために、タッピングを行う。
1 うがいは、顔貌を整える。
誤りです。うがいに顔貌を整える効果はありません。
2 歯みがきは、感染予防になる。
これが正解です。 歯みがきを行うことで細菌の繁殖を防ぎ、誤嚥性肺炎などの感染症を予防できます。
3 口腔内の乾燥は、口臭を予防する。
誤りです。乾燥すると口臭が悪化します。
4 唾液腺マッサージは、唾液の分泌を抑える。
誤りです。唾液腺マッサージは唾液の分泌を促進するために行います。
5 咀嚼機能の向上のために、タッピングを行う。
誤りです。タッピング(軽く叩く刺激)と咀嚼機能の向上とは関係がありません。
第37回 問題88
- 次の記述のうち、口腔ケアを実施するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1 実施中は、利用者に顎を上げた姿勢をとってもらう。
2 総義歯は、上顎から下顎の順に外してもらう。
3 歯みがきの前に、うがいを行ってもらう。
4 歯ブラシは、大きく動かして磨いてもらう。
5 舌ブラシは、舌先から咽頭に向かって動かしてもらう。
1 実施中は、利用者に顎を上げた姿勢をとってもらう。
誤りです。顎を上げた姿勢だと誤嚥の危険性があります。
2 総義歯は、上顎から下顎の順に外してもらう。
誤りです。総義歯は下顎から外します。
3 歯みがきの前に、うがいを行ってもらう。
これが正解です。
4 歯ブラシは、大きく動かして磨いてもらう。
誤りです。歯ブラシは細かく動かします。
5 舌ブラシは、舌先から咽頭に向かって動かしてもらう。
誤りです。舌ブラシは咽頭から舌先に向かって動かします。
次の記事
次は、「医療的ケア」です。

コメント