ここでは人間の成長過程でのキーワードとして、共同注意、社会的参照などの意味を押さえましょう。
人間の発達過程
受精後8週以内
器官が形成されます。
受精後12週以内
つわりがピークに。
受精後12週以後
胎盤が形成されます。
この段階になると人間扱いなので死亡届が必要になります。
受精後21週6日以降
この段階になると中絶禁止です。

中絶してしまったら殺人に?!
出生時
4等身で生まれます。

生まれてすぐの赤ちゃんの動きには「原始反射」と「ジェネラルムーブメント」があります。

原始反射とは反射の反応で、赤ちゃんの手に触れると握り返してきたりするよね。ジェネラルムーブメントとは、あおむけになったときに自発的に手足などをバタバタ動かすような全身運動のことだね。
生後2か月
生後すぐは新生児微笑とよばれる反射的な微笑があります。
生後2か月頃になるとその笑顔は、大人があやしたり何かに興味を抱いたりしたときに笑う「社会的微笑」に変わります。「あー」「くー」といったクーイングと呼ばれる発生が見られます。
生後4か月
体重が出生時の2倍になり、首が座ります。
生後6か月
5~6か月ごろには「ばーばー」「だーだー」といった意味のない喃語と呼ばれる明確な発声が見られます。
寝返りが打てるようになります。
原始反射とジェネラルムーブメントは随意運動が始まるこの頃に消失します。


つまり、原始反射だけでなくジェネラルムーブメントも随意運動ではないわけだね。
生後10か月
また、このころには「共同注意」が始まります。
共同注意とは、他の人と同じように物体や人物に対して注意を向けることです。


この写真は僕が赤ちゃんのころ、写真を撮ってる母親を指さして「写真とってる~」と、横にいる父親に共同注意しているところだよ。
共同注意は、生後2~4か月頃から始まっています。乳児が大人と視線を合わせる行動は二項関係の共同注意であり、生後10か月頃になると他者が注意を向けている対象に同じように注意を向ける三項関係の共同注意になります。
1歳前後
社会的参照が始まります。
社会的参照とは、見たことのないモノや不安なモノに出会った時、母親を振り返り「これって大丈夫?」と確認し、母親の表情や態度からどうするか決める現象のことです。
「まんま」「ぶーぶー」といった意味のある単語を発し始めます(初語)。「まんま」と言うときは「ごはんを食べたい」という述語を伴う内容を指す場合があり、これを一語文といいます。
1歳半ごろ
一人で歩行ができるようになります。
初語を発し始めてから半年ほどかけて単語が急激に増える語彙爆発が起こります。
大泉門が閉じます。

大泉門とは、額の上部にある骨と骨の継ぎ目の「ペコペコしている」部分だよ。
分娩時にこの骨と骨の継ぎ目部分の隙間によって頭が小さくなるので母親のお腹から出てきやすくなるんだよ。
それが1.5歳頃には閉じるということ。
1歳半~2歳
語彙爆発とともに、「まま、くる」「ぱぱ、すわる」のような二語文が見られるようになります。
2~3歳
第一反抗期を迎えます。
3歳
乳歯が20本生えそろいます(永久歯は32本)。
3~4歳
身長が生まれた時から2倍になります。
4~6歳
成人と同等の視力になります。
まとめ
生後 | 身体 | 動作 | 言語 | 対人 |
---|---|---|---|---|
直後 | 4頭身 | 原始反射 ジェネラルムーブメント | ||
2か月 | クーイング | 社会的微笑 | ||
4か月 | 体重2倍 | 首がすわる | 共同注意(二項関係) | |
6か月 | 寝返り | 喃語 | ||
8か月 | 座位保持 | |||
10か月 | 共同注意(三項関係) | |||
1歳 | つかまり立ち | 初語、一語文 | 社会的参照 | |
1歳半 | 大泉門が閉鎖 | 一人歩き | 語彙爆発 | |
1歳半~2歳 | 二語文 | |||
2歳~3歳 | 乳歯が生えそろう | 助詞が使える | ||
3歳~4歳 | 身長2倍 |
キーワード | 意味 |
---|---|
原始反射 | 生まれつき備わっている吸啜反射などの刺激に対する反応 |
クーイング | 「あ~」「う~」という音 |
喃語 | 「ばーばー」「だーだー」といった意味のない発声 |
初語 | 「まんま」「ぶーぶー」といった意味のある発語 |
ジェネラルムーブメント | あおむけになったときに自発的に手足などをバタバタ動かすような全身運動 |
社会的微笑(3か月微笑) | 生後2~3か月頃から、赤ちゃんはあやすと笑ったり、誰に対しても笑顔を見せるようになる |
社会的参照 | 子供が不安と直面した時、母親などの他者に対して確認するなどして行動を決めること |
二項関係 | 「赤ちゃんと母親」「赤ちゃんとおもちゃ」などの2項間で形成される関係 |
三項関係 | 「自分、他者、モノ」の三項で形成される関係 生後9か月までは二項関係、9か月以降は三項関係の世界 |
第一次性徴と第二次性徴
第一次性徴とは、生まれつきの生殖器の違いによる男女の違いのことです。
第二次性徴とは、思春期に起こる生殖器以外の外見的な男女差のことです。

第二次性徴は、例えば男性なら筋肉が発達したり、女性なら乳房が大きくなったり、という外見上の性の特徴だね。
過去問
第32回 問題69
Aちゃん(1歳3か月)は、父親に抱かれて散歩中である。
前方から父親の友人がやってきて、父親がにこやかに友人と話をしていると、Aちゃんは父親にしがみつき、父親の顔と父親の友人の顔を交互に見ている。
しばらくすると、Aちゃんは緊張が解けた様子で、友人が立ち去るときには少し笑顔を見せた。
Aちゃんの様子を説明する用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 3か月微笑
2 社会的参照
3 クーイング
4 自己中心性
5 二項関係
これは社会的参照の例なので選択肢2が正解です。
第31回 問題69
乳幼児の標準的な心身の発達に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 生後3か月頃、指を使って積み木がつかめるようになる。
2 生後6か月頃、つかまり立ちができるようになる。
3 1歳頃、喃語が現れ始める。
4 2歳頃、二語文を話すようになる。
5 3歳頃、愛着(アタッチメント(attachment))が形成され始める。
1 生後3か月頃、指を使って積み木がつかめるようになる。
生後3ヶ月頃は、首が座ってくる時期です。
2 生後6か月頃、つかまり立ちができるようになる。
生後6ヶ月ではまだまだつかまり立ちはできず、手を前について座るなどが限界です。
3 1歳頃、喃語が現れ始める。
1歳頃は喃語(意味のない言葉)どころか簡単な言葉を話し出します。
4 2歳頃、二語文を話すようになる。
2歳である程度意味のある言葉を話すようになりますので、これが正解です。
5 3歳頃、愛着(アタッチメント(attachment))が形成され始める
愛着の形成は3歳以前からです。
第35回 問題31
- 今、発達の実験のために、図のようなテーブル(テーブル表面の左半分が格子柄、右半分が透明な板で床の格子柄が透けて見える)の左端に、Kさん(1歳1か月)を座らせた。テーブルの反対側には母親が立っている。Kさんは、格子柄と透明な板との境目でいったん動くのをやめて、怖がった表情で母親の顔を見た。母親が穏やかにほほ笑むと、Kさんは母親の方に近づいていった。
Kさんの行動を説明する用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自己中心性
2 愛着理論
3 向社会的行動
4 社会的参照
5 原始反射
1 自己中心性
誤りです。自己中心性はピアジェが提唱した前操作期(2~6歳頃)にみられる自分中心にしか物事を見られない特徴です。
2 愛着理論
誤りです。愛着理論はボウルビィが提唱した理論です。
3 向社会的行動
誤りです。向社会的行動とは、自主的にボランティア活動などを行うことです。
4 社会的参照
これが正解です。事例では母親の表情を参照して行動を決めています。
5 原始反射
誤りです。原始反射は、生まれつき備わっている吸啜反射などの刺激に対する反応のことです。
第35回 問題33
- 標準的な発育をしている子どもの体重が、出生時の約2倍になる時期として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生後3か月
2 生後6か月
3 生後9か月
4 1歳
5 2歳
選択肢1が正解です。出生時は約3kgだった体重は、生後3か月頃には約6kgになります。
第34回 問題70
- 乳幼児期の言語発達に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生後6か月ごろに初語を発するようになる。- 2 1歳ごろに喃語を発するようになる。
3 1歳半ごろに語彙爆発が起きる。
4 2歳半ごろに一語文を話すようになる。
5 3歳ごろに二語文を話すようになる。
1 生後6か月ごろに初語を発するようになる。
誤りです。初語を発するようになるのは1歳前後です。
2 1歳ごろに喃語を発するようになる。
誤りです。喃語を発するようになるのは生後6か月ごろです。
3 1歳半ごろに語彙爆発が起きる。
これが正解です。
4 2歳半ごろに一語文を話すようになる。
誤りです。一語文を話すようになるのは1歳前後です。
5 3歳ごろに二語文を話すようになる。
誤りです。二語文を話すようになるのは1歳半~2歳ごろです。
第37回 問題31
- 次の記述のうち、子どもの標準的な成長として、適切なものを1つ選びなさい。
- 1 1歳半から2歳ごろに、ハイハイをして移動できるようになる。
2 生後9か月から1歳ごろに、指をさして自分の関心や欲求を他者に伝えられるようになる。
3 子どもが使う言葉が急に増える語彙爆発は、5歳を過ぎたころに生じる。
4 人見知りの反応は、2歳を過ぎたころに生じる。
5 イヤイヤをしてすぐに泣く行動は、第二反抗期に生じる。
1 1歳半から2歳ごろに、ハイハイをして移動できるようになる。
誤りです。1歳半には一人で歩行ができます。
2 生後9か月から1歳ごろに、指をさして自分の関心や欲求を他者に伝えられるようになる。
これが正解です。このころには他社と感心を共有する共同注意ができるようになり、指差しはそれを促す行為です。
3 子どもが使う言葉が急に増える語彙爆発は、5歳を過ぎたころに生じる。
誤りです。語彙爆発は1歳半ごろから起こります。
4 人見知りの反応は、2歳を過ぎたころに生じる。
誤りです。人見知りは1歳ごろにピークを迎えます。
5 イヤイヤをしてすぐに泣く行動は、第二反抗期に生じる。
誤りです。イヤイヤは第一反抗期の特徴で、1歳半から3歳ごろに見られます。
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次は、スキャモンの発達・発育曲線を見ていきましょう。
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