介護過程では日々の介護記録が重要です。どのように記録すればよいのでしょうか。見ていきましょう。
介護記録のポイント
以下のポイントを押さえておきましょう。介護記録は利用者とその家族は閲覧することができます。
・他から得た情報は、その情報源も記載する
・介護保険法では記録様式は統一されていない
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記録は、サービスを提供した証明にもなるので重要だよ。介護記録がないとサービスを提供したことにならないので、介護保険の介護報酬が否認されるよ。
記録方式
記録方式として、「逐語体」、「叙述体」、「要約体」、「説明体」の4種類を押さえましょう。
逐語体
逐語体は、発話どおりにそのまま記述した記録です。
録音したテープの内容をそのまま記述するテープ起こし(文字起こし)もこれです。
話した内容を加工せず逐一そのまま記録するわけです。

逐語体は逐一記録!
叙述体
叙述体は、客観的な事実を時系列で記述した記録です。
叙述体には以下の2種類あります。
過程叙述体:時系列でワーカーとクライエントの相互作用の詳細を記す
どちらも時系列に記述しますが、圧縮叙述体は文字通り「圧縮」して要点だけ書きます。
過程叙述体はやりとりの過程の詳細を記述します。
要約体
要約体は、要点を整理した記録です。

逐語体は発言そのままの記録、要約体は要点のみの記録なのでセットで覚えよう。
説明体
説明体は、単なる客観的事実だけでなく、記録者の説明や解釈を交えて記録します。

叙述体は客観的事実のみだったけど、説明体は記録者の説明や解釈を加えるので、叙述体と説明体はセットで覚えてね。
問題志向型記録(SOAP方式)
クライエントの「問題」に沿って支援を展開する過程を問題志向型システム(POS:Problem Oriented System)」といい、この問題志向型システムに基づく記録にはSOAP方式の記録があります。
SOAP方式は以下の4点の頭文字をとっています。
つまり、クライエントが抱えるそれぞれの問題について以下の4点を記述していく記録方式です。
O:Objective(客観的情報、援助者の目で見たり聞いたりした事実)
A:Assessment(得られた客観的事実に対する援助者の評価や分析)
P:Plan(上記に基づいた計画の作成)
過去問
第31回 問題33
叙述体を用いて介護記録を作成するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 情報を項目別に整理する。
2 問題のポイントを明確にする。
3 介護福祉職の解釈を記録する。
4 論点を明確にする。
5 利用者に起こったことをそのまま記録する。
選択肢5が正解です。叙述体は客観的な事実を時系列で記録します。
第30回 問題64
介護記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。1 事実はありのままに記録する。2 鉛筆で記録する。3 数日後に記録する。4 介護福祉職の感情を記録する。5 他職種との関わりを除外して記録する。
選択肢1が正解です。
第33回 問題33
介護記録を書くときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 数日後に書く。
2 客観的事実と主観的情報は区別せずに書く。
3 ほかから得た情報は情報源も書く。
4 利用者の気持ちだけを推測して書く。
5 介護福祉職の意見を中心に書く。
選択肢3が正解です。
第28回 問題40
介護記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。1 介護福祉職の意見を中心に記録する。2 調査・研究目的で記録を利用することは避ける。3 記録は非言語的コミュニケーションのツールとして活用する。4 利用者と家族は記録を閲覧することができる。5 介護保険法では記録の様式を統一している。
1 介護福祉職の意見を中心に記録する。
誤りです。介護記録は客観的に記述しなければなりません。
2 調査・研究目的で記録を利用することは避ける。
誤りです。介護記録を調査・研究目的で使用することもあります。
3 記録は非言語的コミュニケーションのツールとして活用する。
誤りです。介護記録は言語・非言語のコミュニケーションツールとして活用できます。
4 利用者と家族は記録を閲覧することができる。
これが正解です。
5 介護保険法では記録の様式を統一している。
誤りです。介護保険法では記録様式は統一されていません。
次の記事
次は、介護過程で必須のアセスメントについて。
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