死んだ人の情報は「個人情報」にならないって知ってましたか?
実はそうなんです。
ここでは、知っていそうで知らない個人情報保護法に規定されている個人情報保護について学びましょう。
個人情報とは
個人情報とは個人を識別できる情報のことで、個人を識別できない情報は個人情報ではありません。
個人情報は生存する個人に関する情報ですので、死亡者は対象になりません。
特定個人情報
特定個人情報は、マイナンバーを含む情報のことです。特定個人情報は利用目的が「税・社会保障・災害対策」に限定されています。
要配慮個人情報
2017年の個人情報保護法改正で以下のように規定されました。
要配慮個人情報とは「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」(個人情報保護法第2条第3項)
匿名加工情報
匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して個人情報を復元できないようにしたものです。
個人情報取扱事業者
個人情報取扱事業者とは個人情報を取り扱っている事業者のことですが、以下の団体は除外されます。
・地方公共団体
・独立行政法人
2017年以前は、「過去6カ月以内に5000人を超える個人データを扱う民間事業者には個人情報の守秘義務」がありました。
つまり5000を超えない個人データを扱う民間事業者には守秘義務はなかったのですが、2017年に個人情報保護法が改正され、規模にかかわらず守秘義務が課せられました。
個人情報保護委員会
個人情報保護委員会は内閣府の外局としての行政機関で、以下のような業務があります。
・個人情報の保護に関する基本方針の策定・推進
・個人情報等の取扱いに関する監督、指導や助言など
・認定個人情報保護団体に関する事務
・特定個人情報の取扱いに関する監視・監督
・その他
認定個人情報保護団体
認定個人情報保護団体は、個人情報保護委員会から認定された民間団体です。
・消費者と対象事業者の間に立って苦情処理の仲立ち
・事故の発生時に対象事業者に代わり個人情報保護委員会に報告
・その他
個人情報保護のルールは業界ごとに傾向が違うため、業界ごとに認定個人情報保護団体を認定しています。
専門用語
デジタルデバイド
デジタルデバイドは、情報の恩恵を受けられる人とそうでない人の二極化のことです。
情報リテラシー
情報リテラシーとは、情報通信ネットワークを利用するのに必要な知識や技術のことです。
情報の非対称性
情報の非対称性とは、売り手は商品のことをよく知っているのに、買い手は商品のことをよく知らない状態のことです。

高齢者はインターネットの利用が難しい人も多いので、高齢者と若者の間では情報の非対称性があるね。
過去問
第35回 問題15
- 「個人情報保護法」に基づくプライバシー保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 電磁的記録は、個人情報には含まれない。
2 マイナンバーなどの個人識別符号は、個人情報ではない。
3 施設職員は、実習生に利用者の生活歴などを教えることは一切できない。
4 個人情報を第三者に提供するときは、原則として本人の同意が必要である。
5 自治会長は、本人の同意がなくても個人情報を入手できる。
(注)「個人情報保護法」とは、「個人情報の保護に関する法律」のことである。
1 電磁的記録は、個人情報には含まれない。
誤りです。電磁的記録も個人情報です。
2 マイナンバーなどの個人識別符号は、個人情報ではない。
誤りです。マイナンバーを含む情報を特定個人情報といいます。
3 施設職員は、実習生に利用者の生活歴などを教えることは一切できない。
誤りです。介護施設等での学生の実習への協力は、医療介護関係事業者の通常の業務で想定される利用目的に該当するため、実習生に利用者の生活歴を教えることは禁止されているわけではありません。
4 個人情報を第三者に提供するときは、原則として本人の同意が必要である。
正しいです。
5 自治会長は、本人の同意がなくても個人情報を入手できる。
誤りです。自治会も個人情報取扱事業者になり、本人の同意が必要です。
社会福祉士 第31回 問題117
個人情報の保護に関する法律の規定について、次のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 個人を識別できない情報も個人情報保護の対象である。
2 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報である。
3 業務に関して知り得た個人情報は、理由のいかんを問わず漏らしてはならないとされている。
4 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り包括的に設定しなければならない。
5 国は、個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情の適切かつ迅速な処理を図るために必要な措置を講ずるものとされている。
1 個人を識別できない情報も個人情報保護の対象である。
間違いです。
個人を識別できる情報に限ります。
2 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報である。
そのとおりです。
3 業務に関して知り得た個人情報は、理由のいかんを問わず漏らしてはならないとされている。
理由のいかんを問わずというのは間違いです。
人の生命や身体、財産の保護のために必要な場合で、本人の同意を得るのが困難な時などは認められています。
4 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り包括的に設定しなければならない。
文章が変ですね。
包括的にが変です。
利用目的をできる限り特定しなければなりません。
5 国は、個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情の適切かつ迅速な処理を図るために必要な措置を講ずるものとされている。
その通りです。
社会福祉士 第30回 問題117
個人情報の保護に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 個人情報取扱事業者には、地方公共団体が含まれる。
2 個人情報取扱事業者の義務は、規定されていない。
3 健康診断やその他の検査の結果の情報の取得に当たっては、原則として本人の同意を得ることが必要とされている。
4 個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報取り扱い事業者の権利利益を保護することを目的としている。
5 個人情報保護に関する官民を通じた基本となる事項を定めた法律である。
1 個人情報取扱事業者には、地方公共団体が含まれる。
個人情報取扱事業者には地方公共団体は含まれません。
他にも国や独立行政法人も含まれません。
2 個人情報取扱事業者の義務は、規定されていない。
個人情報保護法には個人情報取扱事業者の義務が規定されています。
3 健康診断やその他の検査の結果の情報の取得に当たっては、原則として本人の同意を得ることが必要とされている。
そのとおりです。
4 個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的としている。
個人情報保護取扱事業者の権利利益を保護するというのはおかしいです。
5 個人情報保護に関する官民を通じた基本となる事項を定めた法律である。
そのとおりです。
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