戦前~
1922年 健康保険法 制定
日本で初めての社会保障制度は健康保険法による健康保険でした。
被用者の強制保険として開始され、主に低賃金労働者が対象でした。
しかし1923年の関東大震災により健康保険法施行が延期に。
1927年 健康保険法 施行
関東大震災で延期になった健康保険法がやっと施行されました。
業務上の災害も適用対象で現在の労災保険のようなものです。
1931年 労働者災害扶助法 制定
労災保険の前身です。戦後1947年に労災保険になります。
1938年 国民健康保険法 成立施行
国民の大半だった農民を対象、自営業者も。
しかし市町村の任意事業のため低所得者の多い自治体では設置されず、加入も任意でした。
1939年 船員保険法
健康保険法や国民健康保険法のような医療保険はできていましたが、初の年金制度はこの船員保険法です。
船員だけが対象の年金制度でした。
1941年 労働者年金保険法(厚生年金保険法の前身)
船員だけが対象の年金制度しかありませんでしたが、陸上の労働者にも年金制度を作りました。
完全積立方式でスタートしました(現在の厚生年金保険は賦課方式です)。
1944年 厚生年金保険法
対象を事務職員や女子労働者へ拡大してできたのが、この厚生年金保険法です。
これでほぼすべての労働者が厚生年金保険の対象になりましたが、農業や漁業を営む大多数の自営業者たちは加入できませんでした。
そして、1961年の皆年金制度へと向かっていきます。

厚生年金保険は終戦前にできてたんだねー
戦後~
1946年 日本国憲法 制定
日本国憲法には社会保障という言葉が初めて使用されました。
戦後の社会保障は生活保護中心で、社会保険は実質的に機能せずでした。
1947年 労働者災害補償保険法、労働基準法、職業安定法
日本国憲法の労働の権利を保障するためにできました。
労働者災害補償保険法は1973年の改正で通勤途上の災害も対象になります。
1947年 失業保険法
大戦後の失業者対策です。
この法律は1974年に雇用保険法になり失業保険とは別に雇用保険三事業(現雇用保険二事業)が設けられます。
50年代~
1950年「社会保障制度に関する勧告」
生活保障の責任主体は国家であり、その制度の維持運用に必要な社会的義務は国民
社会保障とは①社会保険②国家扶助(生活保護)③社会福祉④公衆衛生および医療(さらに現在は⑤老人保健)
そして社会保障制度の中心は社会保険制度という社会保険中心主義を打ち出しています。
これはイギリスのベヴァリッジ報告の影響を受けていて、生活保護のような社会扶助制度ではスティグマ(汚名)がつきまとうので良くないですよと謳われています。

50年勧告だね。
1954年 厚生年金保険法 改正
それまでは保険料を積み立てる積立方式でしたが、修正積立方式に変更されました。
1958年 国民健康保険法 改正
市町村に設置義務、かつ強制加入の制度へ。
それまでは任意加入だったので公的医療保険制度に加入していない国民が多くいました。ここから国民皆保険制度へ向かっていきます。
1959年 国民年金法 制定
国民年金法は、大半を占めていた農民や自営業者等にも年金制度を、ということで制定され、1961年に施行されます。
これにより、国民皆年金制度へ向かっていきます。
国民年金法では、無拠出制(全額国庫負担)の年金として障害福祉年金が設けられました。国民年金制度の発足時には対象外とされていた知的障害者は、1965年より障害福祉年金の対象に加えられました。
60年代~
高度経済成長により国民の生活水準が上がることにより、皆保険・皆年金制度が求められてきます。
1961年 国民年金法 施行
これにより「国民皆保険・皆年金制度」が出来上がります。
当時は国民の多くは農民でしたから、皆保険によって農村の医療過疎に対応し、皆年金で後継ぎのいない農家の高齢化対策になりました。

皆保険制度開始時は、医療費が5割負担だったよ。
1962年「社会保障制度審議会勧告」
一般所得者層には社会保険、低所得者層には社会福祉、貧困階層には公的扶助(生活保護)をそれぞれ対応させるとしました。
社会福祉:低所得者層
公的扶助:貧困階層
社会保障制度を構成する社会保険、国家扶助、公衆衛生、医療等の各制度間および社会保障制度全般を通じての総合調整を図るとともに各制度間の不均衡の是正を最重要政策課題としました。

62年勧告だね。
70年代~
1973年 「福祉元年」
・老人医療費無料化
・高額療養費制度導入
・年金の物価スライド制導入
1974年 雇用保険法
オイルショックで大量解雇を回避するために失業保険法が雇用保険法になりました。
80年代~
オイルショックによる高度経済成長の終焉と高齢化が顕著に。
1982年 老人保健法
高度経済成長が終わりを迎え、急増する高齢者の医療費が財政を圧迫するようになってきたため、老人保健法を制定し、老人医療費無料化を廃止しました。
この法律は2008年に「高齢者の医療の確保に関する法律」になり、後期高齢者医療制度が出来上がります。
1985年 年金制度 改正
オイルショックや高齢化の加速により、社会保障をスリム化する必要がでてきました。
このときに国民年金制度が基礎年金制度として再編成され、厚生年金と共済年金は報酬比例の上乗せ制度となりました。
・基礎年金制度の導入によって年金制度を一元化(国庫から保険料財源への転換)
・給付水準適正化(抑制)、32年から40年満額

1961年に国民皆年金制度ができてから、基礎年金制度ができたのはこのときなんだね。1986年施行だから、ハロー(86)クソ(基礎)年金で覚えてね。
1989年 年金制度 改正
・完全物価スライド制導入
・学生の国民年金強制加入
・国民年金基金の創設
90年代~
1994年 年金制度 改正
・特別支給の老齢厚生年金(定額部分)の支給開始年齢の段階的引き上げ
・育児休業中の保険料免除
1995年「社会保障体制の再構築に関する勧告~安心して暮らせる21世紀の社会保障を目指して~」
措置制度の見直しを提起し、介護保険制度の創設を強く示唆。
これまでの要保護者に対する生存権保障が最低限の措置にとどまってきたことを指摘しました。

95年勧告だね。
1997年 健康保険法 改正
00年代~
2000年 介護保険法 制定、年金制度 改正
・特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げ(65歳まで段階的に)
・学生納付特例制度導入
・育児休業中の事業主負担分の厚生年金保険料免除
2000年 ドイツと日本で日本初の社会保障協定
両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれ
ば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようになりまし
た。
2004年 年金制度 改正
・マクロ経済スライド導入
・国民年金保険料、厚生年金保険料引き上げ
・基礎年金の国庫負担を1/3から1/2へ(2009年~)
・年金額改定方式の見直し
・育児休業中の保険料免除期間の延長(3歳まで)
・離婚時の夫婦の厚生年金分割
2007年 年金制度 改正
・老齢厚生年金の繰り下げ支給制度
・国民年金保険料引き上げ
2007年 日本年金機構法
社会保険庁に変わって2010年に日本年金機構が発足しました。
2008年 高齢者医療確保法
老人保健法が「高齢者の医療の確保に関する法律」に全面改正され、後期高齢者医療制度ができました。
2012年 老齢基礎年金受給資格期間を25年→10年へ
過去問
第35回 問題9
- 我が国の社会保障制度の基本となる、1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会による「社会保障制度に関する勧告」の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者自立支援法の制定の提言
2 社会保障制度を、社会保険、国家扶助、公衆衛生及び医療、社会福祉で構成
3 介護保険制度の創設の提言
4 保育所の待機児童ゼロ作戦の提言
5 介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備
1 生活困窮者自立支援法の制定の提言
誤りです。生活困窮者自立支援法は2013年に成立、2015年に施行されています。
2 社会保障制度を、社会保険、国家扶助、公衆衛生及び医療、社会福祉で構成
これが正解です。50年勧告の内容は重要なのでしっかり覚えておきましょう。
3 介護保険制度の創設の提言
誤りです。1997年に介護保険法が成立し、2000年に施行されています。
4 保育所の待機児童ゼロ作戦の提言
誤りです。待機児童ゼロ作戦は2001年の閣議決定で展開されました。
5 介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備
誤りです。これは2016年から開催されていた政府の未来投資会議で議論されま
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